若いがワンちゃんでも健康診断で検査で異常が出ることがあります。
検査で異常が出ると病気かもしれないと思い不安になりますよね。
大切なことは、今回出た異常な検査結果が、病気によるものか、検査が正確にできていなかったからかを正しく検証することです。
先日Twitterで、このようなご質問をいただきました
3歳のチワワなのですが、血液検査(フジフィルムベットシステムズ)でBUN40、クレアチニン1.9と高値がでて大変心配しております。
尿検査やエコー等は後日別途行うということなのですが、3歳で慢性腎不全(慢性腎臓病)となる可能性もありますでしょうか?
因みに、今回の血液検査は食事後受けましたが、昨年も同じ条件であり異常値ではありませんでした。
当日はさささみのおやつを食べていましたが、通常量程度かと思います。
また、数ヶ月前に尿検査で結晶が出ていると言われ、投薬治療を行いました。
全ての検査が終わるまで気が気ではなく、他に考慮できる可能性があれば教えて頂けますと大変有難いです。
BUNとクレアチニン、腎不全に関することは、実際に健康診断を受けた方からよくご質問をいただきます。
腎臓病の可能性があると先生から言われると不安になりますよね。
ご質問いただいた内容から、この子のポイントを以下の通りにまとめました。
- 腎臓の可能性があるのか?
- 頂いた検査結果からのもりぞー先生の考察
- 次回の検査までにお家で見ていただくこと
- 正確な検査を受けるために、次回の検査にオススメすること
以上のポイントを抑えて解説しています。
ではよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
慢性腎臓病の可能性があるのか?
まず、3歳という若さからすると、いわゆる慢性腎不全の可能性は高くはないと思われます。
しかし、慢性腎不全の初期の可能性は十分に考えなければならないのは事実です。
なぜなら、昨年はほぼ同じ条件の検査問題がなかったというと、BUNとクレアチニンが両方とも少し高い数値が出ているという2つのことがあるためです。
ほぼ同じ条件で検査を受けていて数値が上昇しているということは、腎臓の機能が低下してきて今回検査で異常になった可能性があります。
また、クレアチニンは同一個体での検査の数値のバラツキがあまりない検査項目です。
今回のように健康診断で受けた項目で、BUNとクレアチニンの両方ともがすこし高値ということは、これも腎機能の低下している可能性を疑わなければなりません。
若いので腎臓病の可能性はないよ…と言いたいところなのですが、やはり検査結果からは注意が必要ですね。
かかりつけの動物病院の先生のおっしゃる通り、正確な評価のために、血液検査の再検査と尿検査やエコー検査などの追加検査が必要ですね。
頂いた検査結果からのもりぞー先生の考察
血液検査の数値は様々な影響を複合して受けます。
BUNとクレアチニンの2つとも高くなる原因として腎臓病以外だと最も一般的なものは、脱水症状による可能性があります。
以前の尿検査の結果に、(尿比重(尿の濃さの指標)がないので断言はしませんが)結晶が混じることがあるということなので、日頃から軽い脱水症状があり、濃い尿が出てるのではないかなと思います。
尿中の結晶は基本的には尿が濃くなければ、尿の液体成分に溶け込んでいるため、析出することはありません。
このことから、あくまで推論ですが、濃い尿が出ているのであれば、慢性腎不全の可能性は低いと思われます。
腎臓病の評価は、飼い主は(僕たち獣医さんもですが…)ついつい血液検査に目が行きがちですが、やはり尿比重(尿の濃さ)は非常に重要です。
特に、初期の慢性腎不全の診断に尿検査はは必須であると考えています。
しかし反対に、結晶が混じっているということから、腎結石や尿管結石がある可能性も想定しなければなりません。
尿石症の場合、結石によって腎臓に負担がかかるため若くても腎不全になってもおかしくはありません。 そのため注意が必要です。
検査の日付が異なると検査の解釈がやや複雑になります。
特に、腎臓の機能を評価するためであれば血液検査と尿検査は同じタイミングで受けるのがオススメです。
次回の検査までにお家で見ていただくこと
まずは次回の検査を受ける前に、落ち着いてお家での様子をしっかり確認しましょう。
特に確認すべきは症状があるかどうかです。
慢性腎臓病を疑う初期症状は①常に薄い尿をしているか①お水を飲む量やオシッコの量が以前より増えたかの2つになります。
なぜなら、夜寝ているときに軽い脱水症状になるので、腎臓が必要な水分を体に留めるようにしっかりと働けば、濃縮された濃い黄色のオシッコをするはずです。
逆に、常に薄い尿をしているならば、腎臓の働きが低下し、慢性腎臓病の可能性があるため要注意です。
具体的には、5kgくらいのワンちゃんであれば500mlのペットボトルにいつも飲む水を入れて準備し、それが一日で飲み切ってしまうかを見るのが方法になります。
体重1kg当たり100ml以上水を飲んでいるのであれば、多飲の症状があると言えます。
また、一日の飲水量が少ないと分かった場合には、飲水量を増やすことで、腎臓の負担を減らすことができ、結石の予防も出来ます。
例えば、ドライフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードを活用したりすることで食事からの水分摂取を増やすことができます。
水飲み場を工夫して、数を増やしたり、常に新鮮な水が飲めるようにしたり、お皿を変えてみたりするのも良いでしょう。
正確な検査を受けるために、次回の検査にオススメすること
もちろん、再検査は必ず受けましょう。
推奨される検査項目は血液検査(BUN、クレアチニン、SDMA、リン、カルシウム、電解質を最低限含む)、尿検査、エコー検査です。
その際に、再検査の精度を高めるためなるべく数値に影響する原因は排除した方が望ましいです。
以下にその方法をお伝えします。
- 検査を受けるまで、蛋白質が多いオヤツは無しにしましょう。BUNが高くなります。
- 検査当日は食事を抜いて受診しましょう。食後はやはりBUNが高めになります
- 検査当日の飲水は病院から止められていないなら問題ないと思います。脱水症状はBUNとクレアチニンの両方が高くなります。
- 尿検査は自宅で採取するのであれば、朝一番のオシッコが良いでしょう。腎不全の診断に重要な尿比重が正確になります
- 病院に尿を持参する際には、密閉された容器(新品のお弁当用の醤油さしなど)に入れて、採取した尿の水分が蒸発しないようにしましょう。
細かな検査の項目は動物病院の獣医さんと相談し、飲食の指示は必ず伺いましょう。
まとめ
今回は健康診断で慢性腎臓病の可能性があると言われた時の考察と対策をお話しました!
その後、Twitterにご質問いただいた方からコメントを頂けました!
SDMAが10と基準値範囲内でした!
尿検査の結果も、尿が濃すぎる方というわけではありませんでしたが、異常は見られなかったため、取り急ぎ腎臓病の疑いはほぼないとの事でした。
血液検査の再検査を1ヶ月後に再検査をしましょうとなりました!
先生のおっしゃった通りでした。お陰様で本日までの間冷静に過ごすことができました。本当に有難うございました!
来月の検査までは気を緩めず、蛋白質の摂取に気をつけ飲水を促していきたいと思っております。
腎臓病の疑いが低くて安心しました。
お役に立てて良かったです。
今回はワンちゃんの例でしたが、ネコちゃんにも同様に活用できます。
もしこの記事が気に入っていただけたら、多くの方に読んでいただけるように知らせていただけたら嬉しく思います。
最後に、この記事を読んでいただき、少しでも多くの飼い主様とどうぶつ達の不安を解決出来たら幸いです。