多発性嚢胞腎は腎臓に水がたまった袋がたくさんできて腎臓の働きが徐々に低下していく、遺伝性の病気です。
ヒトでは難病に指定されています。
猫の多発性嚢胞腎は、慢性腎臓病の原因の一つとなる代表的な病気です。
猫の腎臓病を研究している岩手大学の先生は、日本においては雑種のネコでも多発性嚢胞腎の発生が多いと報告しています。
この記事では、獣医もりぞー先生が猫の多発性嚢胞腎について分かりやすくイラスト付きで解説します。
多発性嚢胞腎の病気の解説から遺伝の仕方、診断するための検査や治療法までを広く解説しますので最後までご覧ください。
- 猫の多発性嚢胞腎はどんな病気か
- どのように遺伝するのか
- 多発性嚢胞腎の早期診断のための検査について
- 多発性嚢胞腎の治療
多発性嚢胞腎とは
多発性嚢胞腎は腎臓に嚢胞が多数できる遺伝性疾患です
少し言い換えると、「腎臓に嚢胞と呼ばれる液体が溜まった袋状のものがたくさんできる遺伝性の病気です。」
腎臓にできる嚢胞は徐々に多くなり、正常な腎臓の組織を圧迫し、機能できる腎臓の組織が減ってしまいます。
その結果、腎機能が低下し、腎臓病の症状が発症します。
多発性嚢胞腎は腎臓だけではなく、肝臓や子宮などの他の臓器にも嚢胞を形成することがあります。
好発猫種
多発性嚢胞腎になりやすい猫の品種は、ペルシャがもっとも有名です。
その他にはアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールド、マンチカンなども好発品種として挙げられます。
また、純血種のネコだけではなく雑種の猫でも発生は見られます。
日本での疫学調査ではアメリカンショートヘアーだけではなく、日本猫など他の猫種においても発生が多いことが分かってきております。
日本ではペルシャだけでなく、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールド、雑種猫においてもPKD1遺伝子の変異が高い確率で見つかっています。
つまり、日本ではPKD1遺伝子の異常は広く広まってしまっているということになります。
原因遺伝子
原因遺伝子とは、遺伝病の発症に関連する遺伝子のことを指します。
猫の多発性嚢胞腎の発症には、PKD1遺伝子の異常が原因遺伝子となることが分かっています。
具体的には、PKD1遺伝子のエクソン29における単一ヌクレオチドの変異が原因とされています。
このPKD1遺伝子の異常は常染色体優性遺伝で遺伝します。
これはヒトの常染色体遺伝性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease : ADPKD)とほぼ同じ原因です。
この変異が原因となって、尿細管細胞が扁平化および尿細管管腔内に嚢胞液の分泌が生じ、腎臓に嚢胞が形成されます。
ヒトでは原因遺伝子が複数発見されていますが、ネコでは1種類のみ特定されています。
遺伝形式
遺伝形式は常染色体優性遺伝です。
高校の生物の授業みたいですね。
ややこしければ読み飛ばしてOKです。
常染色体とは、「性別に関係する遺伝子である性染色体以外の染色体」のことをいいます。
優性遺伝とは、「片方の遺伝子がもう片方の遺伝子の特性を押さえつけて発揮できるような遺伝の方式」のことです。
つまり、常染色体優性遺伝とは「性別に関連しない染色体にのっている遺伝子により、遺伝すると優先的に特性が発揮される遺伝方式」ということになります。
このため、多発性嚢胞腎のPKD1遺伝子の異常による遺伝は、この遺伝子を遺伝してしまうと多発性嚢胞腎の特性を優先的に発揮してしまい病気を発症してしまう可能性が高くなります。
つまり、多発性嚢胞腎に関連しているPKD1遺伝子の異常は、遺伝すると病気を発症やすいため非常に注意が必要と言えます。
多くのネコはヘテロで異常な遺伝子を保有
常染色体遺伝の遺伝様式は対立遺伝子を考慮して考えられます。
対立遺伝子とは「相同染色体で同じ遺伝子の場所(遺伝子座という)に存在する、複数種類の遺伝子」のことです。
対立遺伝子の遺伝はホモとヘテロで考えられます。
ホモとは、2つの遺伝子のうち、2つとも変異がある状態のことを指します。
ヘテロとは、2つの遺伝子のうち、1つに変異がある状態のことを指します。
猫の多発性嚢胞腎の場合、PKD1遺伝子変異は、通常、ホモで保有している場合は致死的とされています。
そのため、PKD1遺伝子変異を保有して生きている猫の多くは、遺伝子変異をヘテロで保有しています。
PKD1遺伝子異常を持つネコは1つだけ異常な遺伝子を受け継いでいると覚えましょう
具体的にどのように遺伝するのか
猫のPKD1遺伝子の変異は、ヘテロで遺伝子を保有しています。
そのため、遺伝のパターンとしては
- 片方の親猫が遺伝子の変異を保有している、ヘテロで遺伝子を保有している猫と遺伝子を保有していない猫との間での遺伝のパターン
- 両方の親猫が遺伝子の変異を保有している、ヘテロで遺伝子を保有している猫同士での遺伝のパターン
の2つです。
例えば、オス猫がヘテロで異常な遺伝子を保有し、メス猫が正常な遺伝子の場合です。
生まれてくる子猫は50%の確率で異常な遺伝子を遺伝することとなります。
病気の発症
遺伝学的発症メカニズム
多発性嚢胞腎の発症にはツーヒット説が提唱されています。
ヘテロでPKD1遺伝子の変異を受け継いだネコは、もう一つ正常なPKD1遺伝子も持っているため、生まれてくるときには腎臓の嚢胞形成をせずに生まれてきます。
しかし、生まれた後に腎臓の尿細管細胞で正常なPKD1遺伝子において体細胞変異が起こることによって病気が始まります。
PKD遺伝子が正常に機能しない異常な尿細管細胞が生まれてくることで、尿細管に嚢胞が形成されるようになります。
これが、多発性嚢胞腎のツーヒット説です。
多発性嚢胞腎が始まるのには、異常な遺伝子のを受け継ぐことと、遺伝子の変異が関連しているという考え方ですね。
しかし、まだまだ発症メカニズムには不明な点が多く、全てが解明されてはいません。
発症年齢
多発性嚢胞腎により、腎不全の症状を発症するのが平均7歳です。
発症年齢は様々で、3歳~10歳と個体差があります。
しかし、実際には、多くの多発性嚢胞腎の猫は、病気の進行は1歳よりも前から始まっています。
では、なぜ多発性嚢胞腎になっていても、すぐに症状がみられないのでしょうか?
それは、腎臓病の症状が現れるのがいわゆる慢性腎不全になってからだからです。
つまり、腎臓の働きが30%以下になる慢性腎不全に至るまでは多発性嚢胞腎の猫も症状としては全く見られることはなく、外見上は普通の猫と何ら変わりありません。
病気が症状として認められる発症年齢と、潜在的に病気が進行している年齢は違うということですね。
多発性嚢胞腎を早く見つけるためには、検査を受ける必要があります。
多発性嚢胞腎のネコでみられる症状
多発性嚢胞腎の症状は慢性腎不全になってから見られます。
つまり、腎臓の機能が30%以下になってから初めて症状として現れ、それまでは無症状で病気が進行していきます。
多発性嚢胞腎により慢性腎不全に陥ると以下の様な症状が見られます。
- 水をよく飲む
- オシッコの量が増える
- 食欲不振
- 元気がない
- 体重が減る
- 吐き気や嘔吐
多発性嚢胞腎が原因にせよ、結石などのその他のことが原因にせよ、腎臓が障害を受け続けることで慢性腎臓病になります。
したがって、原因は違えど、腎機能が低下してみられる症状は慢性腎臓病としての症状になるため、ほぼ同じです。
慢性腎臓病に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
検査と診断
多発性嚢胞腎を診断するための検査としては3つあります。
腎臓のかたちを評価する画像診断検査として超音波検査とCT検査、原因遺伝子を保有しているかを調べる遺伝子検査です。
超音波検査(エコー検査)
腎臓に嚢胞ができているかを超音波を用いて断層画像で評価します。
超音波検査のメリットは麻酔をかけるなどのネコに負担がかかる処置が必要がなく、短時間で確実に腎臓の形態を評価することが可能な検査です。
猫の腎臓の形態的な評価では最も普及している検査です。
エコー検査では小さな嚢胞は早い段階から検出することができ、生後6~8週齢以降でも検査可能です。
さらに、10ヶ月齢以降は、多発性嚢胞腎は約95%の確率で診断できるという報告もあります。
エコー検査はほとんどの動物病院で行える検査です。
腎臓に嚢胞があるか確認する場合には必ず行われる検査ですね。
CT検査
X線を用いて体の構造を詳細かつ3次元(3D)で評価できる検査です。
ヒトでは多発性嚢胞腎の進行具合の評価や、治療薬の判定のためにCT検査が行われています。
しかし、猫においてはCT検査の撮影時に、全身麻酔が必要であるということがあり大きなデメリットとなります。
そのため、猫においては多発性嚢胞腎を診断する目的で一般的に行われる検査ではありません。
CT検査は小動物医療では発展段階の検査です。
今後、その有効性が出てくる可能性もあります。
遺伝子検査
ネコからサンプルを採取して原因遺伝子を検出する検査です。
遺伝子検査を受ける目的は以下の様になります。
遺伝子検査を受ける目的
- お家のネコちゃんが将来的に多発性嚢胞腎を発症するリスクがあるか
- 腎臓に嚢胞が見つかった際に、多発性嚢胞腎であるのかを確定診断するため
- 遺伝病の拡散抑制の観点から、子猫を産ませてよいか
最近では、猫の遺伝子検査が徐々に広がってきています。
特に、自宅で検査を受けられる、口の粘膜を採取する方法は普及してきています。
遺伝子検査ついては以下の記事でも詳しく解説しています。遺伝子検査を受けることで、どういったことが分かるのか?といった観点から解説しています。
是非、合わせてご覧ください。
遺伝子検査の方法
遺伝子検査の方法は大きく分けて2種類あります。
検査機関に口の粘膜を採取したサンプルを郵送する方法と動物病院で血液検査で検査する方法です。
理論上は小さな子猫でも検査することは可能です。
しかし、授乳中の子猫は乳汁中に母猫の遺伝子が混入してしまうため、口の粘膜を採取するでは正確な検査は出来ないと考えられます。
いずれにせよ、急いで行う検査ではありません。
早くても体がある程度大きくなった3、4月齢くらいに検査を受けることが望ましいのではないかと思います。
遺伝子検査の結果の解釈
遺伝子変異なし
多発性嚢胞腎を発症するリスクは低いと考えられます。
ただし、検査した遺伝子以外の変異については分からないため、発症を完全に否定するものではありません。
遺伝子変異あり
多発性嚢胞腎は常染色体優性遺伝であるため、発症のリスクが高いと考えられます。
す。
ただし、現在、多発性嚢胞腎を発症しているのか否かの判定は、遺伝子検査単独ではできません。エコー検査などとあわせて診断する必要があります。
また、繁殖に用いることは禁忌です。
多発性嚢胞腎にかかる猫を減らすために、繁殖前に遺伝子検査で確認しましょう。
適切に繁殖を行うことで、病気のネコちゃんを減らしていくことができます。
\ オススメ! /
多発性嚢胞腎の治療
ネコの多発性嚢胞腎を治すための有効な治療法はまだ見つかっていません。
つまり、多発性嚢胞腎のネコの嚢胞を無くならせたり、嚢胞が大きくなることを抑える治療法はありません。
ヒトでは多発性嚢胞腎の治療薬としてトリバブタンという利尿薬があります。
嚢胞が大きくなるのを抑えて、腎機能が低下することを和らげることができます。
しかし、ネコでの有効性はまだ示されておりません。
多発性嚢胞腎のネコが慢性腎臓病(慢性腎不全)になったときには、それに対する治療を行います。
以下に簡潔に慢性腎臓病の治療について解説します。
点滴
脱水症状がみられる際に行います。
慢性腎臓病の比較的進行した段階であるステージ3以降くらいから、体の脱水症状が常に現れるようになります。
脱水症状は腎臓に負担をかけるだけではなく、元気や食欲がないなどの症状の悪化にも繋がってしまいます。
脱水症状による容態の悪化を緩和するために、点滴を行って水分を体に補給するのが点滴治療になります。
軽度の脱水症状であれば、皮下点滴を行います。ただし、重度の脱水症状になった場合には静脈点滴を考慮します。
しかし、多発性嚢胞腎の場合には点滴は注意が必要です。
なぜなら、過剰な点滴治療は多発性嚢胞腎の病態を悪化させるリスクがあるためです。
点滴治療を過剰に行うと、腎臓の嚢胞の拡大を招いてしまい、残っていて機能している腎臓の組織を圧迫して腎臓に負担をかけてしまいます。
多発性嚢胞腎の場合には、点滴治療も慎重に…と覚えておきましょう。
食事療法(腎臓病用食事療法食)
腎機能の低下によって、高リン血症がある場合や尿毒症に陥っている場合には食事療法を推奨します。
腎臓病療法食は食事中のリンやタンパク質を制限している食事です。
摂取されるリンやタンパク質を減らすことで、高リン血症と尿毒症を緩和します。
特に、食事療法による血液中のリンのコントロールは腎臓病の余命にも大きく影響するため、腎不全の治療としては非常に重要な項目です。
食事療法は大切ですが、実際には好き嫌いでなかなか食べてくれない子も少なくありません。
その場合、焦らずにたくさん食べてくれる食事を与えましょう。
それから、腎臓病療法食を色々と試していくと良いでしょう。
リン吸着剤
食事療法でもコントロールできない様な高リン血症の際にリン吸着剤を使用します。
リン吸着剤としては、炭酸カルシウム(沈降炭酸カルシウム、カリナールなど)塩化第二鉄(レンジアレン)、クエン酸第二鉄(リオナ)、炭酸ランタン(ホスレノール)などがあります。
リン吸着剤は、食事療法が出来ていることが前提です。
食事療法をしていないネコにリン吸着剤を与えても血液中のリンを下げる効果はあまり期待できません。
炭素系吸着剤
炭素系吸着剤は尿毒症の症状の緩和のために使います。
腎機能の低下によって、オシッコから排泄される尿毒素の排泄が滞ってしまい、尿毒素が体に蓄積してしまいます。
重度に尿毒素が蓄積すると尿毒症となり、嘔吐や食欲不振などの症状が見られるようになります。
炭素系吸着剤は腸内で尿毒素の元になる物質を吸着して、便と一緒に排泄し、体に吸収されないようにします。
薬剤は球形吸着炭(コバルジン、クレメジン)と薬用活性炭(ネフガード)があります。
血圧降下剤
慢性腎臓病によって高血圧症が合併することがあります。
高血圧はさらなる腎臓病の悪化など、様々な弊害につながるため適切に内服薬でコントロールすることが推奨されています。
代表的な薬剤としてはカルシウムチャネル拮抗薬であるアムロジピン、アンジオテンシン転換酵素阻害薬であるベナゼプリル、アンジオテンシン受容体拮抗薬であるテルミサルタンなどがあります。
脱水症状がみられる際には、血圧降下剤は注意が必要です。
脱水症状により血圧は下がり、そこに血圧降下剤を与えると低血圧になる可能性があります。
蛋白尿に対する治療薬
尿検査で蛋白尿がみられる場合には、腎臓への負担がかかり、腎機能の低下が進みやすくなります。
蛋白尿を減らし、腎臓を保護するために内服薬が処方されます。
代表的な薬剤はテルミサルタンやベナゼプリルです。
テルミサルタンやベナゼプリルは血圧を下げるお薬でもあります。
脱水症状が顕著にある際には、慎重に使用する必要があります。
エリスロポエチン製剤
腎機能の低下によって、造血ホルモンの産生も減ってしまいます。
これによって骨髄での赤血球の産生が減ってしまい貧血になってしまいます。
これを腎性貧血といいます。
腎臓病により貧血が進むと体が慢性的に酸素欠乏状態になります。
食欲や元気さにも影響します。
貧血を改善させるために、造血ホルモンであるエリスロポエチン製剤を使用します。
治療薬といて猫に一般的に用いられるお薬は、ヒト用エリスロポエチン製剤であるダルベポエチンアルファ(ネスプ)が良く使用されます。
ビタミンD製剤
腎臓はビタミンDの生成にもかかわっています。
そのため、腎機能が低下すると体で作られるビタミンDが減ってしまい、代謝機構に影響を与えます。
カルシウムの低下などビタミンD欠乏の徴候がある際には、ビタミンDの補給を行います。
代表的な薬剤はカルシトリオールがあります。
制酸剤や制吐剤
尿毒症になると、中毒症状として食欲や元気がなくなるだけでなく、胃腸にも負担がかかり嘔吐や吐き気がでます。
胃酸を抑える制酸剤や嘔吐を止める制吐剤(吐き気止め)を使用して症状を緩和します。
慢性腎臓病の診断と治療に関してはIRIS(International Renal Interest Society:国際獣医腎臓病研究グループ)がガイドラインを出しています。
ガイドラインに記載されている治療については別の記事で詳しく解説しています。そちらも合わせてご覧ください。
まとめ
猫の多発性嚢胞腎について解説しました。
それではおさらいです。
- 多発性嚢胞腎は腎臓に嚢胞と呼ばれる液体が溜まった袋状のものがたくさんできる遺伝性の病気
- ペルシャやその近縁種での発生が多いが、日本ではアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールド、日本の雑種猫でも多く見られる
遺伝形式
- 猫の多発性嚢胞腎の原因遺伝子であるPKD1遺伝子の変異は、常染色体優性遺伝で遺伝する
- 遺伝すると病気を発症やすいため非常に注意が必要
病気の発症
- 発症年齢は平均7歳だが、3~10歳と幅がある
- 多くの多発性嚢胞腎の猫は、病気の進行は1歳よりも前から始まっている
多発性嚢胞腎のネコでみられる症状
- 多発性嚢胞腎の症状は腎機能が低下することで現れる
- 水をよく飲む、オシッコの量が増える、食欲不振、元気がない、体重が減る、吐き気や嘔吐などがみられる
検査と診断
- 超音波検査は麻酔をかけるなどのネコに負担がかかる処置が全く必要がなく、短時間で確実に腎臓のかたちを評価することが可能
- 超音波検査は10ヶ月齢以降は、多発性嚢胞腎は約95%の確率で診断できるという報告がある
- CT検査は腎臓の構造を詳細かつ3次元(3D)で評価できるが、全身麻酔が必要であるため、猫の多発性嚢胞腎の診断には一般的ではない
- 遺伝子検査ではPKD1遺伝子の異常を検出することで、将来の病気のリスクや繁殖の是非を評価できる
- 遺伝子検査には血液による検査と、口の粘膜を採取する検査がある
多発性嚢胞腎の治療
- 猫の多発性嚢胞腎を治すための治療法はない
- ヒトの多発性嚢胞腎に対してはトリバブタンが病気の進行を遅らせるために有効であることが示されているが、ネコでの有用性は示されていない
- 多発性嚢胞腎により慢性腎不全になった場合には、慢性腎不全に対する治療を行っていく
多発性嚢胞腎は原因を治療することができない遺伝性の病気です。
日本では雑種のネコも発生が多く報告され、遺伝子の異常が広がっている可能性があります。
難病に苦しむネコを減らすために、動物医療活動は各所で進んでいます。
アニコムは遺伝子検査により病気のネコを減らす運動を推進しております。
大学では多発性嚢胞腎に対する治療法の検討を行っています。
このように多くの人がネコのために取り組んでおります。
この記事を読んでいただき、ネコの遺伝病について理解が進んでいただけたら幸いです。
最後に、もしこの記事が気に入っていただけたら、多くの方に読んでいただけるように知らせていただけたら嬉しく思います。