猫の心筋症の診断と治療を【ACVIM2020最新ガイドライン】に基づいて解説

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心筋症は猫の心臓病で最も多く見られる病気です。

一部の猫では病気が大きく進行することなく寿命を全うすることもあります。

しかし、多くは徐々に進行して心不全動脈血栓塞栓症を発症し、時に突然死によって命に関わる病気です。

猫の死因のトップ10にも入る代表的な疾患です。

ですが、すべての心筋症の猫で治療が必要なわけではありません。

アメリカ獣医内科学会(ACVIM)は猫の心筋症のガイドライン2020年に発表しています。

ガイドラインでは猫の心筋症を、病気の進行具合によって病期分類しております。

その中で、治療が必要なのは病気の進行が見られるステージB2からと推奨されています。

この様に、適切な治療を適切な時期から行うことが重要です。

現在、日本においても猫の心筋症はACVIMガイドラインに則って診断と治療を行う動物病院がほとんどです。

そのため、ACVIMガイドラインを知っておくことは心臓病をもつネコちゃんの飼い主様にとってとても大切なことになります。

この記事では獣医もりぞー先生が、ACVIMガイドラインに基づいた猫の心筋症の診断と治療について分かりやすく解説します。

この記事を読んで分かること
  • 猫の心筋症ってどんな病気なのか
  • お家のネコちゃんにどんな検査や治療が必要なのか
  • 猫の心筋症のACVIMガイドラインとは
  • 猫の心筋症の表現型分類とステージ分類とは
  • 治療方法はどのようなものがあるのか
目次

ACVIMガイドラインとは

猫の心筋症 ACVIMガイドライン

アメリカ獣医内科学会(American College of Veterinary Internal Medicine:ACVIM)により2020年に出されたガイドラインです。

循環器専門医たちが集まり、多くの臨床研究を基にしてガイドラインを作成し、猫の心筋症の分類を明示し、診断や治療に関する「エビデンスレベル」を記載して示しているのが特徴です。

また、ガイドラインでは猫の心筋症を①表現型による分類、②病気の進行具合によってステージ分類を行っており、ステージ分類診断とそれに応じた推奨される適切な治療法を記載しています。

猫の心筋症のACVIMガイドラインについて
  • ACVIMより診断と治療に関するガイドラインが2020年に出ている
  • ガイドラインでは猫の心筋症を①表現型による分類、②病気の進行具合によってステージ分類を行っており、ステージ分類の診断とそれに応じた推奨される適切な治療法を記載している

心筋症はどんな病気

猫の心筋症 心筋の形態(かたち)や機能(はたらき)が異常になる病気

心臓は心筋と呼ばれる筋肉から構成される臓器で、血液を循環させるポンプとして重要な役割を担っています。

心筋症は、この心臓の筋肉自体が異常になる病気です。

具体的には心臓の筋肉に異常をきたすのに十分な他の疾患がみられず、心臓の筋肉の形や働きが異常になる心筋障害をおこす病気を心筋症といいます。

心筋症は心臓の構造の異常によって様々なタイプに分類されます。

最も多いタイプは肥大型心筋症(HCM)という心筋症です。肥大型心筋症は高齢のネコで、オスに多いと言われています。

原因は?どんなネコで心筋症にかかりやすい?

猫の心筋症の原因 遺伝と食事

心筋症の発症に関連した原因はいくつかあります。

その一つが遺伝的な要因です。

品種ではメインクーン、ラグドール、ブリティッシュショートヘア、ペルシャ、ベンガル、スフィンクス、ノルウェージャンフォレストキャット、バーマンなど、一部の血統では肥大型心筋症のリスクが高いと考えられています。

特にメインクーンやラグドールと言った品種では特定の遺伝子が肥大型心筋症の発症に関与していることがわかっています。

また、タウリンという栄養素が不足することで拡張型心筋症になります。

この様に、遺伝やタウリンが心筋症の発症に関与していることが分かっています。

しかし、実際には心筋症を発症する猫は好発品種が多い訳ではなく、どの猫種においてもかかります

さらに、ヒトの医療では心筋症の原因を特定できることがよくありますが、ネコでは心筋症の原因を特定できることはあまりありません。

病気がどのように進行する?

猫の心筋症の進行 心筋の機能障害によりうっ滞した血液が左心房をパンパンの状態に 徐々に左心房が拡大していく

心筋症にかかることによって、心筋のはたらきが障害を受けます。

それは、血液を循環させるポンプとしての役割です。

猫の心臓はヒトと同様に左心房、左心室、右心房、右心室に4つの部屋からなります。

心臓のポンプ機能が障害を受けることによって、特に左心房や左心室において血液がうっ滞して、血液の流れが滞るようになります。

この結果、心臓が全身に血液を送るための仕事の効率が悪くなると同時に、心臓は血液でパンパンの状態になります。

この状態に対して、心臓はその負荷に対応するように徐々に大きくなりますリモデリングといいます)。

特に左心房が拡大する様子が見られます。

心筋症になると、どうなるのか?

うっ血性心不全

最終的には心臓の対応も追いつかなくなり、心機能がうまく機能しなくなる状態である心不全を発症します。

猫の心筋症 肺水腫

心不全に陥ることで、心臓と繋がっている肺でうっ滞した血液の液体成分が浸み出してしまい、肺の中に水が溜まってしまいます。

この状態を肺水腫と呼びます。

猫の心筋症 胸水・心嚢水 うっ滞した血液が胸腔や心膜腔で浸み出す

また、うっ滞した血液の液体成分は胸の中の臓器を包む膜からも浸み出します。

その結果、肺の周りの胸腔や心臓の周りにも多くの液体がたまるようになります。

胸腔の中に液体が溜まる液体を胸水、心臓の周りに溜まる液体を心嚢水(心膜水)といいます。

肺水腫や胸水は呼吸困難を、心嚢水は循環不全によるショックを招き、いずれも救急疾患になります。

動脈血栓塞栓症

猫の動脈血栓塞栓症 左心房で出来た血栓が動脈の血流にのって流れる 血栓が後ろ足の大きな血管や腎臓や脳などの小さな血管に詰まる

心筋症になると血栓ができやすくなります。

特に、左心房と呼ばれる場所に血栓が形成され、それが血流にのって全身の動脈に血栓が詰まってしまいます。

これを、動脈血栓塞栓症といい、救急疾患になります。

猫の動脈血栓塞栓症において血栓が詰まる部位としては、大腿動脈と呼ばれる後ろ足の内股にある大きな血管に血栓が詰まることが最も多い部位になります。

また、腎梗塞による急性腎不全や、まれに脳梗塞の原因にもなります。

突然死

猫の心筋症 突然死

心筋症の悪化により突然死する場合があります。

特に、急に気を失うような失神が見られる場合や、検査において心室性不整脈、左心房の拡大、および局所左心室壁の運動低下がみられる場合は突然死のリスクが高くなるため要注意です。

心臓悪液質

猫の心筋症 心臓悪液質

心筋症により慢性的に重度の心不全を患っていると、心臓悪液質に陥ります。

心臓悪液質によって、食欲不振元気が無い状態になり、痩せていくようになります。

心筋症の症状

猫の心筋症の症状

症状としては4つです。

心筋症の症状
  1. 肺水腫、胸水:呼吸困難
  2. 心嚢水:循環不全によるショック(心原性ショック)
  3. 動脈血栓塞栓症:主に急性の麻痺と痛み
  4. 心臓悪液質:不可逆的な削痩

呼吸困難

肺水腫・胸水の症状

肺水腫と胸水は肺の呼吸を妨げるため、呼吸困難を起こします。

以下の様な症状が見られます。

呼吸が速い
疲れやすい(運動不耐性)
鼻を大きくヒクヒクさせて呼吸する(鼻翼呼吸)
お腹を大きく動かして呼吸する(腹式呼吸)
口を開けて呼吸する開口呼吸
重度の酸素欠乏で舌の色が紫色になる(チアノーゼ)
肺水腫の場合には咳が見られることもあります。

循環不全によるショック

心嚢水の症状

心嚢水が貯留すると、心臓を外側から圧迫します。

それによって、心臓が血液を受け取って膨らむことを妨げられるようになります。

重度になると血液を循環させることができなくなってしまうため、血圧が重度に低下し、ショック状態になります。

ショック状態になるため、以下の様な症状が見られます。

ぐったりする
呼びかけに応じない
意識がなくなる
呼吸が速い
粘膜の色がまっ白になる

急性の麻痺と痛み

動脈血栓塞栓症の症状

血管に血栓が詰まった場合、血栓が詰まった手足において症状が見られます。

そして、血栓が詰まってすぐに見られる急性の症状と、時間が経過してから見られる慢性的な症状があります。

急性の症状としては痛みと麻痺であり、以下の様な症状が見られます。

急に泣き叫ぶほどの激痛
痛みにより呼吸が速い
足の爪や肉球が紫色
急に足を引きずる
歩けない
ふらつく

慢性的な症状は血栓の詰まった程度とその時間によります。重度の血栓の閉塞が起こると、血液が足に循環しなくなることで足の壊死が見られます。

不可逆的な削痩

心臓悪液質の症状

重度の心不全を慢性的に患うことで、心臓悪液質になり、痩せていくようになります。

心臓悪液質は治療することが困難であるため、しっかりと栄養管理を行い予防することが重要です。

猫の心筋症について まとめ

猫の心筋症について まとめ
  • 心筋症は心臓の筋肉そのものの構造や機能の異常がおこる病気
  • 遺伝子変異やタウリンの欠乏が心筋症の発症に関連している
  • 心筋症が悪化すると左心房が拡大し、うっ血性心不全、動脈血栓塞栓症、突然死のリスクが高くなる
  • 心不全を起こすと肺水腫になったり、胸水や心嚢水が溜まったりすることで、呼吸困難や循環不全に陥り救急になる
  • 心不全の症状として、呼吸が速い、チアノーゼ、咳、ぐったりするなどが見られる
  • 動脈血栓塞栓症により強い痛みと麻痺が生じ、慢性経過になると足の壊死が見られる
  • 慢性的に重度の心不全によって、心臓悪液質になり、不可逆的に痩せてしまう

猫の心筋症の診断のための検査

心筋症の診断は、まずは病歴から疑うか、身体検査、胸部レントゲン検査、心臓バイオマーカーなどによって心臓の異常を検出します。

そして、心臓の超音波検査(心エコー図検査)によって確定診断します。

心筋症を疑うと診断した際には心電図検査、血圧測定、甲状腺ホルモン、高感度トロポニンIなどで病態を詳しく評価します。

また、メインクーンとラグドールでは心筋症のリスクの評価として遺伝子検査を利用することあります。

身体検査

猫の心筋症の身体検査

聴診にて心臓のリズム心拍数の異常を確認します。

多くの症状のないネコちゃんがここで初めて心臓病の可能性を先生から指摘されると思われます。

心臓の音の異常を心雑音といい、心臓での血流の異常を見つけるために有用です。

また、胸に手を当てると心臓のドクンドクンという拍動が触れますが、心臓の血流の異常が大きくなるほど心臓が震えるような拍動が触れるようになります。これをスリルといいます。

心雑音が大きく聞こえるほど、あるいはスリルが触れるほど心臓の異常は大きく、心筋症にかかっている可能性が高くなります。

ただし、注意が必要なのが2点あります。

1つ目は軽度の心雑音であれば健康なネコでも聴診で聞こえる場合もあります。つまり、「心雑音≠心筋症」ということです。

2つ目は心筋症では心雑音が認められないこともあります。そのため、「心雑音がない≠心筋症はない」ということになります。

心筋症を早期発見するためには、他の検査を組み合わせる必要があります。

レントゲン検

猫の心筋症のレントゲン検査

X線を用いた検査で、胸部を撮影し、肺や気管などの呼吸器の問題心臓や血管の異常を見つけます。

心臓病の場合は、心臓への負荷に伴い心臓の拡大がないか、肺水腫になっていないか、胸水や心嚢水が溜まっていないかなどを評価します。

特にの評価においては、迅速かつ簡単肺の全体像を確認できるため、大きなメリットのある検査になります。

ただし、心臓の大きさは個体差があります。

そのため、成猫になったらまず一度検査を受けて、健康な状態での心臓の大きさの確認を受けましょう。それによって、心臓に問題が起きてきた際に気づきにくい軽度の異常から検出できる可能性を上げることができます。

さらに健康診断で定期的に検診を受け、心臓の変化をモニタリングすることをお勧めします。

NT-proBNP

猫の心筋症 NT-proBNP

NT-proBNPは心臓バイオマーカーの一つであり、心室の心筋細胞が大きな負荷を受けたかを検出する血液検査の項目です。

採血のみの短時間で検査を終えることができ、さらに心臓の負担を客観的な数値で評価することができるため、心臓病の検出することができます。

それによって、症状が見られない見た目が元気な猫の、心筋症の確定診断や重症度の評価のための心エコー図検査を行うためのきっかけになります。

また、咳や呼吸が速いなどの症状が心臓病からくるものであるのかを分けることもできます。

特に、猫の場合には急な呼吸困難を起こした際には、病院ですぐに検査ができる簡易検査キットがあります。レントゲン検査を受けるとネコに大きなストレスを与えて呼吸困難を悪化させ、安全に実施できないと考えられる場合には、診断を補助するため実施することが考慮されます。

ガイドラインにおいて、NT-proBNPが高値であった場合には必ず心エコー図検査を受けることを推奨しています。

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高感度トロポニンI

猫の心筋症 高感度トロポニンI

高感度トロポニンI心臓バイオマーカーの一つであり、心室の心筋細胞が障害を受けたかを検出する血液検査の項目です。

NT-proBNPと同様に、無症状の心筋症を見つけたり、咳や呼吸が速いといった症状が心臓からくるものなのかを評価するための補助として用いられます。

また、高感度トロポニンIが高いことは心血管死のリスクの増加と関連します。これは心エコー図検査の結果とは独立したパラメータになり、高感度トロポニンIの特徴になります。

そのため、高感度トロポニンIは、心筋症の治療の必要性や予後を評価するために考慮されます。

心電図検査

猫の心筋症の心電図検査

心電図検査では心臓の拍動に関連した電気的な変化を経時的なグラフにすることで、不整脈や心拍数の評価を行います。

心筋症を検出する感度が低いため、ガイドラインにおいてもスクリーニング検査としてはあまり推奨されていません。

しかし、心筋症の猫において、様々なタイプの不整脈を起こすことがあり、急に力が抜けるような脱力や突然意識を失って倒れるような失神などの特有の症状が現れます。

その不整脈を検出し、診断できる検査は心電図検査のみです。

そのため、脱力や失神などの症状が見られる場合には必ず心電図検査を行います。

特に、症状が酷く、頻繫に見られる場合には、ホルター心電図という心電図を24時間装着して検査する場合もあります。

甲状腺ホルモン

猫の心筋症と甲状腺ホルモン

血液検査で甲状腺ホルモンを測定し、甲状腺機能亢進症がないかを診断する検査になります。

甲状腺ホルモンは猫では総サイロキシン(T4)遊離サイロキシン(fT4)といった甲状腺ホルモンの項目を評価します。

数値が異常に高く、それに合致した症状が見られる場合には甲状腺機能亢進症と診断されます。

甲状腺機能亢進症は肥大型心筋症の病態を悪化させます。心筋の肥大を助長し、心臓の血液を受け取る働きである拡張機能に悪影響を及ぼします。

その結果、肺水腫や胸水を招くうっ血性心不全血栓症を助長するリスクがあります。

そのため、甲状腺機能亢進症は心筋症のガイドラインにおいて肥大型心筋症のフェノタイプとして扱われております。

ガイドラインにおいても、聴診上の異常(心雑音、ギャロップ音、または不整脈)のある中年齢からシニアの猫(6歳以上)では血圧の測定と同時に、甲状腺ホルモンを測定することを強く推奨しています。

心エコー図検査

猫の心筋症の心エコー図検査

超音波検査では超音波を用いてリアルタイムでの臓器の形を評価します。

心臓病の検査のゴールドスタンダードです。

心エコー図検査は心臓の形態や内部の構造の異常の検出、拡張性や収縮性などの心臓の運動性の評価、さらに血流の異常をエコーの信号から非侵襲的に測定することができるため、心臓の病態を理解するためには最も重要な検査項目です。

また、呼吸困難の際には胸水の貯留がないかを迅速に診断し、肺エコー検査で肺の細かな病変がないかを評価することが出来ます。

心筋症では心筋の形態、血流の異常、心臓の拡大があるかなどを計測・評価し、その結果から病気の確定診断と進行具合(ステージ)の分類を行います。

このステージ分類による心筋症の重症度から、治療方針の決定を行います。

ただし、心エコー図検査にはデメリットもあります。

それは、検査を行う獣医師の熟練度によって大きく左右される検査であることです。

循環器を得意とする獣医師と一般の獣医師とでは計測の誤差や、心臓の評価に差が出ます。

また、救急時には時間をかけて心エコー図検査を行うことは患者のネコちゃんにとって大きな負担になります。そのため、救急時には心筋症による心不全の症状と診断するために、項目を絞って簡易的に評価することが重要になります。

これらのことから、ガイドラインでは心エコー図検査を、検査を行う獣医さん熟練度と患者の緊急性に応じて評価する項目を3段階に分けております

①ポイントオブケア(Focused point-of-care):患者の容態が不安定で救急の状態のため、検査を行う獣医さんの熟練度が限られているため、またはその両方のために簡略化された心エコー図検査。症状が心不全に伴うものかを判断するための評価項目が含まれる。

②標準治療(Standard of care):訓練を受けた有能な観察者によって標準と見なされる内容を含む心エコー検査。心筋症の表現型の分類やステージ分類に必要な一般的な心臓の評価項目が含まれる。

③ベストプラクティス(Best practice):専門知識を持つ心臓専門医によって実施される心エコー図検査。さらなる病態の理解のための評価する項目が含まれる。

血圧測定

猫の心筋症 血圧測定

腕や足、あるいは尻尾に血圧測定用のカフと呼ばれるバンドを巻いて血圧を測定します。

猫の場合は、主に収縮期血圧(いわゆる上の血圧)で血圧の高さを評価し、高血圧症がないかを診断します。

全身性の高血圧症が併発している場合、心筋症の病態を悪化させるため、高血圧症がないかを評価することは大切です。

また、個体ごとのベースの血圧を把握しておくことで、今後血圧のコントロールが必要なった際に有用です。

したがって、心筋症のネコちゃん全てにおいて血圧測定をおすすめします。

ガイドラインにおいても、聴診上の異常(心雑音、ギャロップ音、または不整脈)のある中年齢からシニアの猫(6歳以上)では甲状腺ホルモンの測定と同時に、血圧を測定することを強く推奨しています。

高血圧症に関しては以下の記事でも解説しますので、是非ご覧ください。

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遺伝子検査

猫の心筋症の遺伝子検査

血液検査で肥大型心筋症に関連した遺伝子変異がないかを検出します。

メインクーンラグドールにおいてはMYBPC3(ミオシン結合タンパクC)の遺伝子変異が肥大型心筋症の発症に関連していることが分かっています。

繁殖を行うメインクーンとラグドールにおいては、この遺伝子変異が関連した肥大型心筋症を発症するネコを減らす目的で、遺伝子検査をうけることがガイドラインにおいても推奨されています。

また、繁殖を行わないメインクーンとラグドールにおいても、検査を受けることで肥大型心筋症のリスクを評価することができます。

ただし、遺伝子変異がない場合でも肥大型心筋症を発症することはあるため、リスクの高い品種では特に早期発見のため定期検診が推奨されています。

日本で検査可能な遺伝性疾患の遺伝子検査を以下の記事で比較解説しています。あわせてご覧ください。

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猫の心筋症の診断のための検査 まとめ

猫の心筋症の診断のための検査 まとめ
  • 心雑音が大きく聞こえるほど、あるいはスリルが触れるほど心臓の異常は大きく、心筋症にかかっている可能性が高くなる
  • レントゲン検査迅速かつ簡単心臓の拡大、胸水の有無、肺の全体像を確認できる
  • 心臓バイオマーカーであるNT-proBNP高感度トロポニンIは採血のみの短時間で検査を終えることができ、心臓病の検出するスクリーニング検査として利用することができる
  • 高感度トロポニンIは心筋症の猫の心血管死のリスクの増加と関連する
  • 心電図検査は心筋症の猫の不整脈を診断することができ、脱力や失神などの特有の症状がある際には必ず評価する
  • 聴診上の異常(心雑音、ギャロップ音、または不整脈)のある中年齢からシニアの猫(6歳以上)では血圧の測定と甲状腺ホルモンを測定することを強く推奨している
  • 心エコー図検査は心臓病の診断のゴールドスタンダードであり、心筋症の場合には、表現型とステージの分類に必要不可欠
  • メインクーンラグドールにおいてはMYBPC3(ミオシン結合タンパクC)の遺伝子変異が肥大型心筋症の発症に関連するが、遺伝子変異がない場合でも肥大型心筋症を発症することはある

猫の心筋症の診断

猫の心筋症の診断は2つからなります。

ガイドラインでは猫の心筋症を①表現型(フェノタイプ)による分類、②病気の進行具合によってステージ分類を行っております。

心筋症の表現型(フェノタイプ)

猫の心筋症の表現型(フェノタイプ)

ガイドラインでは猫の心筋症を、心臓の構造と機能の異常から5つの表現型(フェノタイプ)に分類しています。

猫の心筋症の表現型(フェノタイプ)
  1. 肥大型心筋症(HCM)
  2. 拘束型心筋症(RCM)
  3. 拡張型心筋症(DCM)
  4. 不整脈源性右室心筋症(ARVC)
  5. 非特異的表現型の心筋症(nonspecific phenotype)

猫の真の心筋症は「原因が特定できない心筋そのものの異常により、心臓の機能異常をきたす病気」と定義されます。

猫の心筋症の表現型(フェノタイプ)

【表現型(フェノタイプ)】という分類には真の心筋症に加えて、心筋の異常がみられる他の疾患も心筋に異常をきたす病態として含まれるようになっております。

例えば、甲状腺機能亢進症は心筋の肥大を促しますが、心筋症ではありません。しかし、甲状腺機能亢進症によって心筋の肥大を起こした猫は、【肥大型心筋症の表現型(フェノタイプ)】に分類されます。

特に、最も多い肥大型心筋症の表現型は、多くの原因が心筋の肥大に関わるため、病態の悪化を避けるため甲状腺ホルモンや血圧測定が推奨されます。

この様に、表現型を分類することは検査や治療を考える場合に重要です。

また、心筋症の表現型は余命に大きく関連します。

肥大型心筋症以外の表現型である、拘束型心筋症、拡張型心筋症および不整脈源性右室心筋症は予後が短いことが一般的です。

そのため、表現型を分類することは重要です。

しかし、循環器専門医でも表現型の分類が難しい場合もあります。

病気のステージ分類

ACVIMガイドラインでは猫の心筋症を病気の進行具合に応じて4段階のステージで病期分類しています。

ステージは、①好発猫種であるか②心臓の形態や機能の異常、血栓の有無などによる形態学的変化肺水腫や胸水などの心不全や動脈血栓塞栓症の発症の有無その治療の反応性の4つに応じて主に分類されています。

ステージはA~Dまであり、ステージDの方が病気は重度で進行した状態にあります。

ステージ分類は治療方針の決定に役立ちます。

特に、治療介入が必要かどうかを分けるステージB2の診断が重要です。

ACVIMガイドラインにおける猫の心筋症のステージ分類

ステージA心筋症を発症するリスクが平均より高いが、まだ心臓の明らかな構造的な異常がない
つまり、まだ心筋症にかかっていない好発猫腫であるメインクーン、ラグドール、ブリティッシュショートヘア、ペルシャ、ベンガル、スフィンクス、ノルウェージャンフォレストキャット、バーマンなどを指します。

ステージB心筋症をにかかっているが、心筋症の臨床症状を起こしたことは一度もない無症状の猫
 ステージB1うっ血性心不全動脈血栓塞栓症などの臨床症状を発症するリスクが低い猫
 ステージB2うっ血性心不全動脈血栓塞栓症などの臨床症状を発症するリスクが高い猫

ステージCうっ血性心不全動脈血栓塞栓症などの臨床症状を発症したが、標準的な治療で症状の改善がみられた猫

ステージDうっ血性心不全動脈血栓塞栓症などの臨床症状を発症し、さらに標準的な治療に抵抗性がある猫

猫の心筋症の診断 まとめ

猫の心筋症の診断 まとめ
  • ACVIMガイドラインでは心筋症を5つの表現型(フェノタイプ)4段階のステージで分類している
  • 心筋症の表現型によって、その後の検査や予後の指標になる
  • ステージ分類は心筋症の進行具合であり、治療方針の決定に役立つ
  • ステージは、①好発猫種であるか②心臓の形態や機能の異常、血栓の有無などによる形態学的変化肺水腫や胸水などの心不全や動脈血栓塞栓症の発症の有無その治療の反応性の4つに応じて主に分類されている
  • 治療介入が必要かどうかを左右するステージB2の診断が重要

治療

猫の心筋症の治療

治療の目標は心不全や血栓症といった命に関わる合併症を引き起こすリスクを下げることと、それらを発症したあとのコントロールすることになります。

そのため、治療を必要とするかは個々の猫の病態の把握と、病気の進行具合であるステージ分類が重要になります。

ステージ分類ではステージB2以上に進行している場合に内科治療を推奨しています。

しかし、逆に言うと病気にかかっていないステージAと心筋症の初期であるステージB1は内服薬や食事などによる治療は推奨されていません。

理由は以下の通りです

猫の心筋症のステージAおよびB1で治療を推奨しない理由

  • 心筋症のこの初期段階では、心不全への進行が不確実であるため
  • 推奨される定期検診の内に心不全を発症する可能性が低く、この段階で投薬が有効であるという根拠がないため

内科治療

猫の心筋症の内科治療

心筋症に対する治療はお薬による内科治療が主体です。

心筋症は肥大型心筋症をはじめとした表現型がありますが、心筋症によって引き起こされるうっ血性心不全や動脈血栓塞栓症の治療法は、表現型にかかわらず類似しているところが多いです。

そのため、治療薬やその使用法は、表現型よりも、症状や病気の進行具合であるステージ分類を優先的に考慮して治療されます。

また、治療には予防的な治療、心不全や動脈血栓塞栓症による救急の症状を呈している急性期の治療、それぞれの容態が安定した後の慢性期の治療があります。

以上のことを加味して、ここからは①予防的な治療②うっ血性心不全の治療(急性期と慢性期)③動脈血栓塞栓症の治療(急性期と慢性期)の3つ分けて解説します。

予防的な治療

猫の心筋症の内科治療 予防的な治療

治療を始める目安は、心筋症による心臓への負荷により心房が拡大し、今後、心不全や動脈血栓塞栓症を発症するリスクのあるステージB2から、リスクを低下させる目的で治療を開始を考慮します。

ガイドラインでは動脈血栓塞栓症のリスクの高いと考えられる所見(中程度から重度の左心房拡⼤、LA FS%の低値、左⼼⽿内⾎流速の低値、もやもやエコー)がある場合には、動脈血栓塞栓症の予防として抗血小板薬であるクロピドグレルの投与が推奨しています。

また、肥大型心筋症や不整脈原性右室心筋症の場合、心室性期外収縮や心房細動と呼ばれる不整脈を起こすことがあります。その場合には、アテノロールやソタロール、ジルチアゼムといった治療薬を検討します。

甲状腺機能亢進症や高血圧症によって肥大型心筋症の表現型を示す場合もあります。これらは肥大型心筋症の病態を悪化させるため、それらの疾患に対する治療も合わせて行います。

うっ血性心不全の治療

猫の心筋症の内科治療 うっ血性心不全の治療

心筋症によるうっ血性心不全の急性期は、肺水腫胸水呼吸困難に陥いるケースと、心嚢水循環不全に陥いるケースがあり、いずれも命にかかわる救急疾患になります。

厳格な酸素供給による呼吸管理を行いながら、うっ血性心不全による血液循環の異常を改善させて呼吸状態の回復を目標にして治療します。

胸水や心嚢水が溜まっている場合には、応急的に穿刺して液体を抜去します。

治療薬はフロセミドという利尿薬により血液うっ血の改善を図ります。場合によって、血液循環を改善させるために強心薬であるピモベンダンやドブタミンが使用されます。

治療中に興奮することによって呼吸が悪化する場合にはブトルファノールなどの鎮静薬の使用も考慮されます。

急性期の容態が安定すると慢性期になります。

ステージや病態が進行した場合や症状に応じて、内服薬にてフロセミド、トラセミドやスピロノラクトンなどの利尿薬、ベナゼプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)、強心薬であるピモベンダンなどでの治療の追加が検討されます。

動脈血栓塞栓症の治療

猫の心筋症の内科治療 動脈血栓塞栓症の治療

動脈血栓塞栓症は心筋症で最も良くない合併症です。

血栓症によって起こる足の麻痺だけではなく、強い痛みとその後の余命が短いためです。

そのため、獣医さんの病気の説明をよく理解した上で治療に進む必要があります。

治療のメインは①痛みに対する鎮痛治療②血栓の再発リスクを下げることになります。

鎮痛薬としてはフェンタニルなどの麻薬性の鎮痛薬が推奨されています。痛みの程度に合わせて数日間使用します。

同時に、血栓がこれ以上出来ないように抗凝固薬であるヘパリンを注射や点滴にて投与します。

容体が安定し、内服薬が飲めるようになったら、抗血小板薬であるクロピドグレルを使用します。

抗凝固薬は内服薬でリバーロキサバンという薬が考慮される場合もあります。

慢性的に経過すると、血栓が血管に詰まった足は麻痺が残ったり、数日たつと足の壊死が起こったりすることがあります。

これは血栓が詰まった程度によって経過が異なります。足の状態に合わせたケアが必要になります。

また、繰り返しになりますが、動脈血栓塞栓症を経験した場合は余命が短いことが一般的で、突然死をすることもよくあります。

食事療法

猫の心筋症の食事療法

多くの心筋症のネコちゃんで見られるわけではありませんが、ステージDより心臓悪液質陥る可能性があります。

重度の心筋症によって、慢性的にうっ血性心不全を患っている猫では、合併症として「心臓悪液質」と呼ばれる栄養不良状態になります。

この心臓悪液質になると、特に筋肉量が減少することで瘦せていくようになります。その結果、余命に大きく悪影響を及ぼすことになります。

この心臓悪液質は予防することよりも治療することの方が難しいため、これを避けるために適切な栄養管理を行うことは心筋症をもつネコちゃんにとって重要なことになります。

ガイドラインでは、ナトリウム摂取量の制限よりもカロリー摂取量を優先し、どうぶつ病院を訪れるたびにボディコンディションスコア(体型)と正確な体重を記録することが推奨されています。

以上のことから、心臓病をもつネコちゃんで推奨されるキャットフードの内容は以下の通りです。

心臓病をもつネコで推奨されるフードの内容
  • ナトリウムを適度にに制限したもの
    ナトリウムを過剰に摂取するようなドッグフード、おやつ、トッピングは避ける
  • 最適な筋肉量や体型を維持するために、適切なタンパク質と十分なカロリーが含まれるもの
  • しっかりと食事を摂取するために、嗜好性の高いもの

また、猫は血漿中のカリウム濃度の低下食欲の低下に繋がります。

そのため、ガイドラインにおいても、血液検査で血清電解質濃度を定期的に検査を受けることが推奨されており、低カリウム血症が確認された場合にはカリウムを食事に補給します。

自宅での酸素室(在宅酸素療法)

猫の心筋症 自宅での酸素室(在宅酸素療法)

ガイドラインでの明確な記載はありませんが、個人的な見解としてはステージC以上の場合には自宅での酸素室の設置も検討します。

酸素室の自宅での設置に関しては、ネコちゃんの重症度などの病態や性格、自宅での環境、ご家族の状況に合わせてケースバイケースになります。

酸素室を自宅に設置する具体的な例としては以下の通りです。

酸素室を自宅に設置するケース
  • 肺水腫になり入院してしまったがその後回復し、退院して内服薬による厳密な治療をスタートしていく際に肺水腫の再発など様々な不安がある場合
  • ステージDで標準的な治療に対して抵抗性のある重度の心筋症で、短期間に肺水腫を繰り返している場合
  • 末期の心筋症で、酸素療法なしでは呼吸の管理が困難な場合

最近では、酸素室の設置方法にはレンタルするかあるいは購入するか、酸素をいれるケージは従来通りのアクリル製のケージから安心感のあるケージ状のものがあるなど、様々なニーズに合わせたものがあります。

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猫の心筋症の治療 まとめ

猫の心筋症の治療 まとめ
  • 治療法は内科治療が主体
  • 食事療法は心臓悪液質を予防するために行う
  • 動脈血栓塞栓症は最も良くない合併症であり、病気をよく理解した上で治療を進める必要がある

まとめ

もりぞー先生

猫の心筋症についてACVIMガイドラインに基づいて開設しました。
それではおさらいです。

猫の心筋症におけるACVIMガイドラインの診断と治療 まとめ
  • 心筋症は猫の心臓病で最も多い、心臓の筋肉に異常が起こる疾患
  • ACVIMより2020年に診断と治療に関するガイドラインが出ている
  • ガイドラインでは猫の心筋症を①表現型による分類、②病気の進行具合によってステージ分類を行っており、ステージ分類の診断とそれに応じた推奨される適切な治療法を記載している
  • 心筋症が悪化すると左心房が拡大し、うっ血性心不全動脈血栓塞栓症突然死のリスクが高くなる
  • 心不全を起こすと肺水腫になったり、胸水心嚢水が溜まったりすることで、呼吸困難循環不全に陥り救急になり、呼吸が速い、チアノーゼ、咳、ぐったりするなどの症状が見られる
  • 動脈血栓塞栓症により急に強い痛み麻痺が生じ、慢性経過になると足の壊死が見られる

検査

  • 心臓バイオマーカーであるNT-proBNP高感度トロポニンIは採血のみの短時間で検査を終えることができ、心臓病の検出するスクリーニング検査として利用することができる
  • 高感度トロポニンIは心筋症の猫の心血管死のリスクの増加と関連する
  • 心電図検査は心筋症の猫の不整脈を診断することができ、脱力や失神などの特有の症状がある際には必ず評価する
  • 聴診上の異常(心雑音、ギャロップ音、または不整脈)のある中年齢からシニアの猫(6歳以上)では血圧の測定と甲状腺ホルモンを測定することを強く推奨
  • 心エコー図検査は心臓病の診断のゴールドスタンダードであり、心筋症の場合には、表現型とステージの分類に必要不可欠
  • メインクーンラグドールにおいてはMYBPC3(ミオシン結合タンパクC)の遺伝子変異が肥大型心筋症の発症に関連するが、遺伝子変異がない場合でも肥大型心筋症を発症することはある

診断

  • 心筋症の表現型の分類によって、その後の検査や予後の指標になる
  • ステージ分類は心筋症の進行具合であり、治療方針の決定に役立つ
  • ステージは、①好発猫種であるか②心臓の形態や機能の異常、血栓の有無などによる形態学的変化肺水腫や胸水などの心不全や動脈血栓塞栓症の発症の有無その治療の反応性の4つに応じて主に分類されている
  • 治療介入が必要かどうかを左右するステージB2の診断が重要

治療

  • 治療法は内科治療が主体
  • 動脈血栓塞栓症は最も良くない合併症であり、病気をよく理解した上で治療を進める必要がある

獣医療において日々臨床研究がなされ、多くの学術論文や発表がなされています。

それらを専門医の監修の下で、作成されたACVIMガイドラインは獣医師や多くのどうぶつ達にとって有益な情報となります。

これを知っておくことが飼い主様やご家族にとっても大切なことであると考えられます。

ただし、注意点もあります。

今回ガイドラインに則って病気の診断と治療について解説しましたが、実際には同じ検査結果でも解釈が異なり、その子その子によって治療の方向性も異なります。

それは獣医療が検査・治療に当たる獣医師、犬の健康上や環境での問題点、飼い主様の立場など様々な要因を考慮して行われるためです。

そのため、ガイドラインを完全に順守した治療を行うのではなく、ガイドラインに沿って目の前のご自身のネコちゃんの治療の最適解を獣医師と飼い主様の信頼関係の下で一緒に考えていくことが重要であると考えます。

特に難しい病気の場合、獣医さんの説明をよく聞いて、ご家族のネコちゃんに合った治療の方法を相談して決めていくのがよいでしょう。

もし、少しでも分からないことがありましたら、かかりつけの獣医さんに気軽に質問すると良いでしょう。

最後に今回の記事が少しでも飼い主様の疑問に解決し、どうぶつ達の健康に繋がれば幸いです。

論文情報:https://ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats
※正確な論文の解釈をするなら、原文を読むことをお勧めいたします。

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