お家のワンちゃん猫ちゃん達をレンタルした酸素室に入れっぱなしで問題はないのでしょうか?
これに関する回答は単純ではありません。
様々な疑問や注意点を踏まえた上で多角的に判断する必要があります。
酸素による健康被害がないのか?酸素中毒にならない?
長時間使用する時の酸素室の注意事項は?
酸素室を使うペットたちを酸素室から出しちゃダメ?閉じ込められたストレスが強そう…
などなど、多くの疑問や注意点があります。
なので、酸素室に長時間入れっぱなしで問題ないのか?という質問に関して、もりぞー先生の回答は
「適切に使用すれば健康上の被害を起こすリスクは非常に低く安全と考えられるが、酸素室の使い方を誤ったり管理を怠ったりすると問題を起こす可能性がある」
です。
そこで、この記事では酸素室の疑問についてご回答し、適切に酸素室の利用する為の対策について解説します。
これからペット用酸素室を利用する方や既に利用している方に向けて、疑問と不安を解消できるように記事を書かせていただきました。
ぜひご参考にして下さい!
適切に使えば長時間入れっぱなしにしても問題はない!
ペット用酸素室は非常にどうぶつ達にとって有益で良いものだと考えています。
しかし、このペット用酸素室をほとんどの方が使ったことは無く、初めて触るような特殊な医療機器だと思います。
そんな医療機器を用いて、飼い主様がお家のどうぶつを治療するのに使うのであれば、当然知っておかなければならないことがあります。
なぜなら適切に使用出来なければ十分な治療効果がられず、誤った使い方をすると事故に繋がります。
これは車の運転と同じですね。
車はとても私たちの生活の上で便利なものですが、使い方を知らなければ動かすことが出来ず、さらに誤って使用すれば事故の原因になり得ます。
安心、安全にペット用酸素室を使用していただくため、これらの順番に解説していきます。
ペット用酸素室の利用するときの3つの疑問点
疑問1 酸素中毒にならないのか?
なぜなら、レンタルで借りた在宅用の酸素室の酸素濃度は大気中よりも少し高い25%から、より高くしても40%までになるようにしてあります。
一般的に、吸入酸素濃度が50%を超えて長時間使用すると酸素による悪影響が現れると言われています。
そのため、酸素濃度が50%を超えない自宅に設置する酸素室に長時間入れっぱなしにしたとしても、酸素によるの健康被害を起こすことはないと考えられます。
つまり、呼吸に関わる病気を抱えるどうぶつ達にとってペット用酸素室による在宅酸素療法は、酸素中毒を起こす危険性は低くく、呼吸を楽にすることが出来るので、積極的に取り入れていって良いと思います。
疑問2 酸素室に入れておくことによる身体的な悪影響はないのか?
一般的な酸素ケージは酸素濃度を保つために、ある程度の気密性が保たれております。
そのため、酸素ケージにワンちゃんネコちゃんを入れっぱなしにする事で、動物たち自身の体温によってケージ内の温度は上がりがちになります。
酸素ケージを置く場所など状況によっては、ケージ内は高温になってしまいます。
高温は呼吸状態が悪い動物たちにとっては大きな負担になり得ますので、温度管理は重要になります。
温度や酸素濃度をコントロールするために、定期的な換気が必要と思います。
ケージには出入りするための扉、手を入れるための小さな小窓、換気用の窓が設けてあります。
コレらの空気の出入り口から適度に換気を行う事で、酸素ケージ内の換気を図りましょう。
また、温度を適切に保つ工夫として、保冷剤や部屋の温度、日当たりも気をつけましょう。
疑問3 必ず入れっぱなししておかなければならないではないのか?
酸素室を借りたら、ずっとそこで暮らさないといけないの?
このようなご質問はよくいただきます。
もちろん長時間入っていた方が良いかは病気の種類や容体にもよって変わると思いますが、少なくとももりぞー先生はずっと24時間入れることは反対です。
なぜなら、それでは自宅に酸素室を設置した目的からは外れてしまうからです。
おそらく飼い主様が酸素室を借りた目的は、お家のワンちゃんネコちゃんが安心して暮らせる自宅で、治療を続けながら呼吸が少しでも楽に過ごすことだと思います。
慣れないケージに閉じ込められることは間違いなく大きなストレスになることでしょう。
ストレスは交感神経を緊張させ、呼吸や心臓への負担を増やします。
楽に過ごせるようにする為の酸素室が、かえって負担になってしまいます。
お家の子の容体や性格を加味しながら考え、最も快適に過ごせる時間や使い方を目指しましょう。
安心、安全に酸素室を利用する対策3選
対策1 ストレス
酸素室は酸素を充満させたケージです。
当然ですがケージの中に入れっぱなしにされたどうぶつたちは、閉じ込められたことによるストレスを強く感じます。
外に出て遊びたい、飼い主様と一緒にいたい、慣れ親しんだ安心できる場所にいたい、などといった気持ちからストレスを受けます。
ストレスは呼吸や心臓に負担をかけるため、酸素ケージにいることが悪影響を与えてしまいます。
これに対する対策は2通りです。
①酸素ケージにいる時間を長くし過ぎない ②酸素ケージを安心出来る場所にする です。
具体的な方法は
- ケージの出入りを自由にする
- 酸素室に入れておく時間帯を決めておく
- 酸素ケージを静かな場所に置く(特に酸素濃縮器との位置関係に注意)
- 酸素ケージにお気に入りのクッションなどの敷物やブランケットを入れる
- 酸素室に慣れてもらうために、酸素室に入ったらスペシャルなオヤツをあげる(条件付けする)
などの対策をすると良いでしょう。
具体的な使用例をお示しします!
呼吸が苦しくなることがある重度の心臓病、僧帽弁閉鎖不全症のチワワさん
お薬を飲んでいるので、酸素室が無くても呼吸はすごく速くなることはありません。
でも、共働きで日中はどうしてもお留守番をしないといけないため、仕事中に呼吸が苦しくならないか心配
こういうケースでのオススメの使い方は以下の通りです。
お仕事中の日中だけ酸素室に入ってもらって休んでもらいます。
その間、ペットカメラを利用するとチワワさんの様子も確認できて安心
酸素室にはお気に入りのクッションも入れてます
お家の方が帰ってきたら酸素室への出入りは自由に出来るようにしてあげることで、酸素室に入れっぱなしにはしない
また万が一、呼吸が苦しくなっても酸素室があるので応急処置が可能です。
安心して暮らすために酸素室をレンタルするという選択肢もあるということですね!
注意点2 生活スタイルへの影響
ペット用酸素室をレンタルすると、酸素濃縮器という大きな機器と酸素ケージが必要となります。
これらをお家に設置する際には、設置する場所の確保と酸素濃縮器が稼働することで出る音などが時として問題となります。
酸素濃縮器の稼働するときの音は近所迷惑になるほどの大きな音ではありませんが、聴力の発達している犬や猫には少なからずストレスをかけます。
また、夜中も稼働する場合、飼い主さんの睡眠にも影響するかもしれません。
対策3 温度や湿度、衛生面
一般的な酸素室用のケージは、酸素濃度が保たれるように、気密性がある構造になっています。
ケージ内でどうぶつ達が長時間いると、必ずケージ内の温度や湿度は上がっていきます。
特に温度の上昇は、呼吸の苦しくなりがちな状態のどうぶつ達にとって大きな負担になります。
ケージ内外からの保冷や、あえて気密性を下げるためケージの扉や窓を開けるなどの対策が必要です。
また、使用しているとケージの中が食事や水がこぼれたり、ウンチやオシッコなどで汚れます。
汚れが溜まる事で臭いもこもりがちになってしまいます。
こまめに掃除をして、衛生的で過ごしやすいようになるようお世話をしましょう。
酸素室に長時間入る際のどうぶつ達のチェックポイントまとめ
酸素室を利用することの最大の目的は呼吸を楽にしてあげて快適かつ安心して生活することにあります。
そのために気を付けたいチェックポイントをまとめました。
- 呼吸の様子
- 食欲などの体調
- 寂しさ、不安に対するケア
- ストレスの発散
呼吸の様子
酸素室で過ごしているときの呼吸の様子をチェックしましょう。
注意すべき呼吸に関する変化は以下の通りです。
- 呼吸がはやい(特に安静に寝ているときの呼吸の回数が1分間あたり40回を超える)
- チアノーゼ(酸欠状態により舌の色が紫色になる)がみられる
- ガーガー、ブーブーといった普段とは違う異常な音が呼吸するたびに聞こえる
- 猫が開口呼吸をする
これらの異常が見られる際には必ずかかりつけの動物病院に相談しましょう。
体調
呼吸以外の体調もしっかりチェックしましょう。
- 食欲や元気はあるか
- 排便排尿はあるか
- 嘔吐や下痢はないか
- お薬は飲めているか
- 普段とちがった様子はないか
呼吸状態の良くない子のほとんどが、酸素室にはいると呼吸が楽になり元気になります
ただし、呼吸だけに囚われないようにしっかりと体調を見ていきましょう
寂しさ、不安に対するケア
酸素室にいることで、呼吸は楽になります。
ただし、慣れない限られたスペースの部屋にいることが多くなるので、どうぶつ達がストレスを感じることも少なくありません
実際に、動物病院に入院した動物たちの様子を見ると、飼い主さんと病院のスタッフの反応が全然違いますね
慣れない環境で、安心できる人と一緒にいることがどうぶつ達の何よりの幸せなんだろうと思います
また、ストレスがかかることはどうぶつ達の体調にも悪影響を及ぼし、呼吸や心臓への負荷を与えてしまいます。
こういったことから、ストレスをケアする方法を考える必要があります。
ケアするポイントは2つで①酸素室での生活を苦にならないような安心できる環境にする②飼い主さんとコミュニケーションがとれるように必ず時間を作る
具体的例としては以下の通りです。
- 安心できる寝床を用意
- 普段から使っている食器やトイレをつかう
- 警戒心が強い子はちゅーるなどの大好きなオヤツを使いながら徐々に慣らしていく
- 可能な限り、酸素室で過ごさないで一緒にいる時間を作る
- 一緒にいるときは、お家の子が好きなようにゆっくり過ごす
酸素室を使って快適に過ごしてもらうためには
酸素濃度
ペット用酸素室を使って酸素療法を行うにあたって、酸素室内の酸素濃度が適切に保たれているかはとても大切です。
酸素室の中にいることで、適切な酸素濃度をお家のどうぶつに給与できていることで、お家で酸素療法を受けれているということになります。
そのためには、適切な酸素室のセッティングが出来ていることが最も重要になります。
酸素室のセッティングは、最初にレンタルした際にレンタル業者さんが行ってくれます。
それに従って使用すれば基本的には問題ありません。
しかし、酸素室をつかってもらうどうぶつ達は一筋縄ではいかないこともしばしばあります。
ケージのセッティングをご自身で試行錯誤する場合は、酸素濃度計を用いて酸素室内の酸素濃度を測定するとより確実でしょう。
温度管理
また、温度を適切に保つ工夫として、保冷剤や部屋の温度、日当たりも気をつけましょう。
酸素ケージは温度が高くなる傾向になるため、酸素濃度を維持しながら温度を下げる管理が必要になります
機密性の高いケージの中に、温度の高い動物が入ることで高くなるためです。
ケージの中の温度が高くなることは、息苦しさをもたらしストレスを与えます。
呼吸の悪い動物なら尚更です。
酸素レンタル最大手のテルコムは、このケージの中の温度が高くなる問題を、濃縮した酸素を含む空気を常に循環させることで解決しています。
また、レヴソル(こぐまの酸素屋さん)は密閉しないサークルを使用して熱がこもらないようにしています。
それでも気温が高くなる場合には、氷嚢や凍らせたペットボトルを使うと良いでしょう。
湿度管理
ケージには出入りするための扉、手を入れるための小さな小窓、換気用の窓が設けてあります。
コレらの空気の出入り口から適度に換気を行う事で、酸素ケージ内の換気を図りましょう。
衛生管理
酸素室内はペットが食べたフードや水、うんちやオシッコなどの排泄物で汚れてしまいます。
ケージはキレイに使い、汚れた敷き物やペットシーツなどは交換し、衛生的に使用しましょう。
ストレスを減らす工夫とグッズ
居心地の良いベットやオモチャ
慣れない酸素室でいてもらうようになるので、不安やストレスが少しでも緩和されるような良い環境を整えましょう。
慣れない酸素室では不安になったり、怖がったりすることもありますので、お家の子が使い慣れた敷き物やタオルなどのものが望ましいでしょう。
自動給水器などの給水器
水分の管理は大切です。
区切られたケージの中で水をこぼしてしまうと、お水が飲めなくなってしまいます。
ケージの網に引っ掛けるタイプの給水器は酸素ケージでは使えません。
こぼさないように水のお皿を床に貼り付けるなどして固定するか、自動給水器がオススメです。
高床式のトイレトレー
小型犬で酸素ケージの中にトイレトレーを入れるのであれば、トイレトレーを高床式にするのがおすすめです。
オシッコが染み込んだペットシーツは、ワンちゃんに踏まれて潰されたり破れたりすると、ベタベタに汚れてしまいます。
このトイレトレーはペットシーツに染み込んだオシッコが溢れて足が汚れることがなくなり衛生的です。
特に、重症の心臓病を持つワンちゃんは利尿薬(ルプラック、アプガード、ラシックス、フロセミドと言った名前のお薬)を処方されていると思います。
オシッコの量が多くて困る方には重宝すると思います。
ペットカメラとスマートリモコン
スマートリモコンは外出中でもエアコンの操作ができる優れ物です。
ペットカメラでワンちゃんネコちゃんの様子や温度を確認して室内の温度を調整することができます。
お仕事中ですぐに帰れない時などに出来ることがあると安心ですね。
ペット用酸素室の使い方と設置方法
ペット用酸素室の使い方と設置方法については以下の記事で解説していますので参考にしていただければと思います。
呼吸が苦しい!緊急時の対応について
お家の子の救急は突然やってくることもあります。
そんなもしもの時に慌ててしまわないよう、あらかじめ調べておきましょう。
- かかりつけの動物病院
- 診察日、診察時間
- 時間外(夜間含む)の対応の有無
- 担当の先生の出勤
- 夜間、救急対応してもらえる病院
まとめ
以上、本当に入れっぱなしで大丈夫?ペット用酸素室の疑問と対策と題して解説しました。
自宅での酸素室は治療法の一つとして非常に重要と思います。
ペット達の呼吸を楽にし、自宅で元気に過ごす為の時間を提供してくれます。
もし、この記事をご覧になって酸素室をレンタルすることになった際には、もりぞー先生の記事を見て借りたよ!と伝えていただくと、もりぞー先生のやる気に繋がります。
最後に、この記事が飼い主様のお役に立てたら幸いです。