犬や猫のペット用酸素室は、高齢や持病があるペットたちの健康管理に役立ちます。
特に心臓病や呼吸器疾患のあるペットにとって、酸素室はストレスを軽減し、呼吸を楽にするための大切なサポートツールとなります。
飼い主さま心臓病が急に悪化したから、先生にお家の酸素室を進められたけど、どういう事に気を付けるといいの？
飼い主さま酸素室を借りたいけれど、どうやって設置したらいいのか予め知っておきたい！
こういった声は多く頂きます。
今回は、現役の獣医師もりぞー先生が町の獣医さんの立場から、ペット用酸素室の設置方法について6つのポイントで完全解説し、飼い主様が安心して適切な酸素環境を提供できるようサポートします。
酸素室の効果的な活用方法や、安全性に配慮した設置方法について知りたい方は、ぜひお読みください。
- 酸素室を設置する前に気を付けること
- 適切な設置場所を考えるためのポイント
- 自宅でのペット用酸素室の設置の仕方
- 酸素室使用中の注意点
ペット用酸素室（酸素ハウス）の基本知識と適用症状
酸素療法のメリットと適用症状
慢性的な呼吸器疾患や心臓疾患を抱えているワンちゃんネコちゃんは、症状が進行すると常に呼吸が苦しい状態になり、酸欠状態（低酸素血症）に陥ります。
酸素療法は吸入する酸素濃度を高めることで呼吸を助け、体内の酸素供給を改善する治療法です。
特に自宅で酸素を吸入する在宅酸素療法は、ペットの快適さを維持し、健康状態を改善する効果が期待できます。
もりぞー先生酸素を多く体に取り込めるので、呼吸が苦しいワンちゃんネコちゃんや心臓病の子も楽になり、快適に過ごせるということですね！
また、症状によっては、緊急時の酸素療法が必要になることもあります。
そういった場合にも、自宅で応急処置が出来るため安心です。
心臓病と呼吸器疾患において酸素療法が効果的な理由について以下の記事でも解説しています。
ペットの状態を評価する方法
お家のワンちゃんネコちゃんの健康状態や性格を正確に把握することが、適切な酸素室選びに繋がります。
犬や猫たちの性格
まずは、性格はどうかを考えましょう。
- 怖がり
- 好奇心旺盛
- 隠れる場所がすき
使う酸素ケージの形がどれがいいのかを判断する基準になります。
例えば、怖がらない性格であれば、中の様子が確認できる透明なアクリルケージが良いでしょう。
もし、慣れた環境以外では落ち着かない性格であれば、普段からお家にあるサークルにビニールカバーをかける方法もあります。
隠れる場所が好きであればアイリス製のサークルがオススメです。
サークル
もりぞー先生酸素室の使用は、どうぶつのストレスの程度と酸素室の効果を天秤にかけて考える必要がありますね。
お家での健康状態をチェックする
次に、ペットの呼吸状態や活動レベルをチェックしましょう。
もりぞー先生食欲があるのか、元気にお家で過ごせているか、呼吸は大丈夫なのかなどを具体的にチェックします。
- 食欲あるか（フードをしっかりと食べられるか）
- 活動性があるか（元気にすごせているか）
- 呼吸が速くないか（1分間当たりの呼吸の回数）
- 呼吸があらくないか（大きくお腹や胸を膨らませる、開口呼吸）
- 異常な呼吸の音がしないか（ヒューヒュー、ガーガー、ゴロゴロなど異常音）
- 舌が紫色にならないか（チアノーゼがあるか）
- 咳をしないか
- ばてやすくないか（運動不耐性がないか）
さらに、病院で診察をうけ、獣医師と相談ししましょう。
ペットの症状や必要な酸素濃度を明確にし、最適な酸素室を選ぶための参考としてください。
獣医師と相談するポイント
適切な酸素室を導入する時期、お家での酸素療法の方法や酸素室に入る時間、酸素室の選び方などについてアドバイスを受けることが大切です。
もりぞー先生お家の子の病状や性格などを踏まえて酸素室を設置する方がメリットが多いのかを一緒に考えてくれます。
これは、お家の子のことをよく知っているかかりつけの獣医さんでないとできないことですね！
また、獣医師と連携して治療計画を立てることで、ペットの健康状態をより適切に管理することができます。
ペット用酸素室の種類と特徴比較
お家に設置するタイプは、より安定した酸素供給が可能で長期間の使用に向いています。
もりぞー先生大きめの酸素濃縮器を使用して高濃度の酸素を酸素ケージに集めます。
いわゆる酸素室をお家に設置するメジャーな在宅酸素療法の方法です。
一方、ポータブルタイプは、持ち運びが容易で短時間の使用に適しています。
もりぞー先生ポータブルタイプは主に自宅と動物病院などの間を移動する車で際に使用することが目的になると思います。
シガーソケットから電源をとって小さめの酸素濃縮器を使用します。
ポータブルタイプの酸素濃縮器と酸素ケージ
酸素室設置前の準備と選び方
酸素室を設置する際のポイントとチェックリスト
酸素室を設置する際には、以下のポイントを考慮しましょう。
お家の条件
- 設置場所：視認性がよく、静かな場所に設置できるか
酸素室の条件
- レンタルするか、購入するか
- 価格は安価か
- サイズ：酸素濃縮器や酸素ケージのサイズ
- 騒音： 騒音レベルがペットにストレスを与えない範囲か
- 機能：必要な機能（濃縮酸素の出力など）が備わっているか
- 耐久性：長期間使用できる耐久性があるか
- メンテナンス：点検や清掃が容易に行えるか
- アフターサポート：修理やトラブル対応が充実しているか
もりぞー先生酸素室の条件の中でも、アフターサポートの点も含めて考えるとレンタルがオススメです。
＼酸素濃縮器のレンタルについては以下の記事で解説しています！／
酸素濃縮器と必要なものをそろえる
酸素室を設置する場合には、酸素濃縮器に加えて様々なものを準備する必要があります。
酸素室を設置する際に必要なものは以下の通りです。
- 酸素濃縮器（酸素発生器）
- 酸素ケージ
- 酸素濃度計
- 酸素マスク
- ペットカメラ
- 酸素濃縮器と酸素ケージは必須です
どうぶつの様子やお家の状況に応じて、必要なものを揃えましょう。
また、酸素マスクやペットカメラなど、必要な付属品も揃えておくことが重要です。
最適な酸素室の設置場所と環境調整
静かで快適な場所の選び方
また、ご家族が頻繁に行き来する場所や家具のすぐそばではなく、ペットが落ち着いて過ごせるスペースを選びましょう。
騒音や振動が少ない場所を選ぶことで、ペットがストレスを感じることなく酸素療法を受けられます。
もし、なかなか酸素室に入ってくれない、あるいは、酸素室内でじっとしてくれない場合には工夫が必要です。
もりぞー先生酸素室内に普段から使っている布を置いてみたり、フードやおやつなどのご褒美を酸素室内で与えるなどして、酸素室に対する警戒心を解いていくことが重要です。
その場合は長めのチューブを利用して、酸素濃縮器と酸素ケージを離して使用する方が良いでしょう。
安全性とアクセスしやすさのバランス
ペット用酸素室の設置場所は、ペットだけでなく、飼い主がアクセスしやすい場所が望ましいです。
また、安全性も考慮して、酸素濃縮器や電源周りの取り扱いに注意してください。
温度・湿度管理と適切な環境設定
酸素室内の温度と湿度は、ペットの快適さや健康に大きく影響します。
そのため、加湿器やエアコンなど空調を活用して環境を整えましょう。
ただし、酸素室内の温度湿度と酸素室を置いているお部屋の温度湿度は一致しないこと少なくありません。
酸素室の設置手順と注意点
酸素濃縮器の正しい設置方法
酸素濃縮器を正しく設置することが、安全かつ効果的な酸素療法に繋がります。
酸素室組み立て・設置の手順！
酸素濃縮器の電源をコンセントに指します。
これで酸素濃縮器からの濃縮酸素を酸素ケージに溜めることが出来ます。
酸素濃縮器の電源を入れて濃縮酸素を出します。
酸素流量は、ペットの病気の状態や体重によって異なります。
酸素濃度は、酸素濃度計を使用して計測し適切な酸素濃度にしましょう。
もりぞー先生酸素室の使用する前後で温度や湿度も確認しましょう。
使用中の注意点と安全対策
酸素室を使用する際には、以下の注意点を守ってください。
- 定期的にペットの様子をチェックし、異常があればすぐに対応する。
- 酸素室内の温度・湿度を維持し、過度な暑さや湿気がないことを確認する。
- 酸素濃縮器や電源周りの取り扱いに注意し、火災や感電事故を防止する。
- 酸素室の清掃や酸素濃縮器のメンテナンスを定期的に行い、衛生的な状態を保つ。
＼酸素室の注意点については以下の記事で解説しています！／
まとめ
もりぞー先生酸素室の設置の仕方について解説しました。
それではおさらいです。
酸素室の適応症状と効果
- 酸素療法は慢性的な呼吸器疾患や心臓疾患を抱えている酸欠状態（低酸素血症）の動物に適応
- 在宅酸素療法を行うことで、愛犬・愛猫の呼吸を楽にし、健康状態を改善する効果が期待できる。
ペットの状態を評価する
- 性格や健康状態を正確に把握することが、適切な酸素室選びに繋がる
- 病状を詳しく知っているかかりつけの獣医さんと相談
ペット用酸素室の種類と特徴比較
- お家に設置するタイプは、より安定した酸素供給が可能で在宅の長期間の使用
- ポータブルタイプは、持ち運びが容易で車での移動など短時間の使用に適している
設置前の準備と選び方
- 酸素室を設置するお家の状況、酸素濃縮器の性能やレンタル会社のサービスから考慮する
- 酸素濃縮器と酸素ケージの他に、酸素濃度計、マスク、ペットカメラなど必要なものを揃える
最適な酸素室の設置場所と環境調整
- 設置場所はリラックスできる静かな環境であり、さらに飼い主さんが様子をモニタリングしやすい場所がよい
- 適切な温度（おおよそ20～26℃）と湿度（40～60%）を維持することが重要
酸素室の設置手順と注意点
- 酸素濃縮器は直射日光を避けた通気性の良い場所に置き、電源コードが引っかからないように
- 酸素濃縮器を酸素ケージに繋いで、濃縮した酸素をケージに溜めて酸素室を作る
- 使用中はどうぶつと酸素室の様子をチェックする
- 火災、感電に注意
- 定期的に酸素室の清掃や酸素濃縮器のメンテナンスをする
ペットの健康をサポートするために、適切な酸素療法が非常に重要です。適切な酸素療法を提供することで、ペットはより快適で健康的な生活を送ることができます。
獣医師と密に連携し、ペットの症状やニーズに応じた酸素室を選び、設置場所や環境調整にも注意を払いましょう。
そして、酸素療法を効果的に利用することで、愛犬や愛猫の健康を改善し、より快適な生活を送らせることができます。
酸素療法は、ペットの健康を総合的にサポートするための一つの手段です。獣医師との協力を通じて、最適な治療やケアを提供し、ペットが元気で幸せな生活を送ることができるようサポートしましょう。
最後に、ペットと飼い主の絆を大切にし、愛情を持って接することが、ペットの健康を最も支えることだということを忘れずにいてください。
今後、ペットの酸素療法に関する技術や知識が進化することで、さらに効果的で快適な在宅酸素療法が可能になることでしょう。
新しい情報や研究成果に目を光らせ、ペットの健康を最適にサポートするために、獣医師や専門家の意見を積極的に取り入れていきましょう。
